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産業医側から見た、産業医導入時に気を付けて欲しいこと

2023-06-09
メンタルヘルス予防
医療法人社団 結樹会 産業医/星野 優先生

常日頃から多くの企業様を担当させていただいている産業医の一人として、産業医を初めて導入する時に特に企業のご担当者様に気を付けていただきたいことをこちらにまとめました。

まず、産業医についてです

労働者が50人以上の「事業場」では、事業者が産業医を選任しなければなりません。また、1,000人以上の大規模事業場などでは専属産業医を選任することが必要です。
この人数は、人数要件は「事業場」単位であり、企業単位ではありません。また、短時間労働者や契約社員などの雇用者だけでなく、自社に派遣されている労働者も含みます。
この産業医選任は「義務」であり、行わない場合労働基準基準監督署から罰則が発生します。

具体的には、


【労働安全衛生規則第13条第1項】
産業医を選任すべき事由が発生した日から、14日以内に選任すること。

【労働安全衛生規則第120条】
労働安全衛生規則第13条第1項目に違反した場合は、50万円以下の罰金に処する。

というように定められております。

但し、地域柄産業医がなかなか見つからないなど、様々な理由により14日間きっかりではなく、猶予が認められる場合もありますが、速やかに選任するに越したことはありません。

産業医を選任するにあたり、注意すべき点がいくつかあります

1. 名義貸し産業医
2. 企業側、労働者側に偏りすぎてしまう産業医
3. 連絡が取りづらい産業医

1.「名義貸し産業医」については、昔の鷹揚な時代の悪しき風習といえます

まさに「名義貸し」で、年間通じて訪問などは行わず、書類上の登録のみというケースです。
時代的に鷹揚な部分があったようですが、ストレスチェックなどをはじめ諸々きちんとした体制になった昨今、企業側、産業医側両方にとって非常にリスクが高いといえます。企業によっては産業医費用や対応の手間が「コスト」であると考え、できるだけ費用を抑えようと名義貸しで済ませたいという考えもあるかとは思いますが、企業としての義務でもあり時代的にもきちんと対応すべきと考えます。

2.企業側、労働者側に偏りすぎてしまうケースについてです

あくまで産業医は「第三者」の立場であり、どちらかに肩入れしすぎてしまってはいけません。第三者の専門家として、両者に寄り添いつつも、一定の距離感を保ったうえで、冷静に対応しなけらばなりません。どちらに肩入れしすぎても後々余計なトラブルの源になる可能性があります。

3.連絡が取りづらい、相談しづらい産業医

基本的に嘱託産業医の場合、月1回・1時間の訪問が最低条件となっています。但し、突発的な休職/復職対応、社員のトラブル、感染症や労災などの対応について、気軽に相談できる産業医の方が望ましいといえます。もちろん毎日のように相談、という訳にはいきませんが、訪問以外の一切の連絡は無理という厳しい産業医の先生がいらっしゃるのも事実です。当初の契約次第ではありますが、ある程度柔軟に対応してもらえる先生の方が企業及び労働者にとってもやりやすいと考えます。

以上、産業医の選任の際に注意すべき点を挙げさせていただきました。