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メンタル不調によって休職中の従業員から「そろそろ復帰したい」と連絡が来たら、どのような手続きをすればいいのでしょうか。本記事では手順を追うとともに、従業員と職場の両方において適切な配慮が必要であることにも触れていきます。
休職していた従業員から復職希望の連絡を受けても、本人や会社側の判断だけで復職を決めることは非常に危険です。会社側は主治医の診断内容が記載された診断書を提出する旨を本人に伝えてください。そして、できる限り診断書には復帰後に必要な職場での配慮などを追記してもらうようにしてください。
診断書が提出された後、可能であれば産業医による復職前面談の実施が推奨されています。主治医の診断書は当然のことながら、「疾患」を基礎とした「体調面」という視点から記載されており、実際の業務復帰にあたって業務内容などの細かな判断や、業務時間、業務量などの調整は、産業医面談によって意見書として提出してもらうことで、従業員の方にとってもより安全な復職フローを進めることが可能です。
休職・復職はどの会社でも等しく起こりうる可能性があります。つまり、産業医を選任していない従業員が50名以下の会社なら休職・復職は起こらないということになりません。ですので、復職診断書はどの会社もあらかじめ用意しておいた方が良いでしょう。ここにいくつか資料を用意しましたので、これらを参考にしてみてください。
・厚生労働省 手引きの「職場復帰及び就業上の配慮に関する情報提供書【様式例4】」(25ページ目)
・産業医学振興財団 職場復帰支援マニュアルの「職場復帰支援に関する情報提供書(復職診断書)【様式2】」(26ページ目)
主治医からの診断書内容や産業医による本人ヒアリング内容などの情報、休職している本人の状況等を踏まえ、総合的に評価した上で復職の可否を判断します。ちなみに判断するのは主治医でも産業医でもありません。主治医の診断書及び、職場復帰に関する産業医面談後の意見書を基に、最終的には会社が判断します(様式例はこちら)。
復職が決定したら、職場復帰を支援するための具体的なプランを作成します。主に、業務内容や業務量、就業制限などです。本人がストレスなどで再休職となってしまわないよう、スムーズな支援を心がけてください。
会社の人事・労務担当者は産業医による「職場復帰に関する意見書」の完成を確認した上で、復職の決定を本人に通知します。会社によって業務内容や業務による負荷は異なるので、職場や仕事にスムーズに復帰するための期間や試用内容などは各々で決められると良いでしょう。
産業医と相談する機会や、産業医への意見書の作成依頼は、すでに産業医を選任している会社(従業員数が50名以上)が対象となります。中には従業員が50名以下であるため「当社には産業医がいない」という会社もあるでしょう。その場合、例えば復帰の判断となる情報は主治医からのみになり、それを元に会社が判断することとなります。
従業員が50名以下の事業場は「選任の義務がない」だけで、「選任してはいけない」ということではありません。もし、休職・復職でお悩みでしたら、産業医の選任を考えてみてはいかがでしょうか。